こんにちは。月に10冊は本読まないと落ち着かないテツヤマモトです。
図書館で借りていた「君の膵臓をたべたい」を読破しました。
2016年の本屋大賞で2位を受賞していたのは知っていて、「何だこのタイトルは?」とずっと気になっていた小説です。
いざ読んでみると…、いやー泣けました。ここ半年で一番感動したかな。
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「君の膵臓をたべたい」とは?
「君の膵臓をたべたい」は2015年6月に発売された、住野よるさんのデビュー作です。
▼詳しいプロフィールはこちら。
■話題の小説家!住野よるのプロフィールと全4作品の感想をまとめる。
同作は、2016年の本屋大賞で2位を受賞したことで話題となり、現在までに累計62万部を売り上げるヒット作です。
小説投稿サイトがきっかけで、出版に至った背景もなんだかドラマチックです。
あらすじはこんな感じ!
ある日、高校生の僕は病院で1冊の文庫本を拾う。タイトルは「共病文庫」。
それは、クラスメイトである山内桜良が密かに綴っていた日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていた。
こうして、偶然にも【ただのクラスメイト】から【秘密を知るクラスメイト】となった僕。まるで自分とは正反対の彼女に、僕は徐々にひかれていった。
だが、世界は病を患った彼女にさえ、平等に残酷な現実をつきつける――。
地味な高校生男子「僕」と、人気者女子「山内桜良」の恋愛を描いたストーリー。
桜良が患う深刻な病気の存在を知ってしまい、それを弱みに僕が振り回されていきます。「病人のお願いだから聞きなさい!」的な。
「病気」と「高校生の恋愛」、これだけ聞くとありがちな小説っぽいですけど、それだけだったら62万部も売れませんよ!
ちなみにわりと胸キュンな恋愛小説なので、住野よるさんは「素敵な女性なんだろう…」と思っていたら、20代後半の男性らしいです。ちょっと夢が壊れましたw
「君の膵臓をたべたい」の感想(ネタバレあり)
物語は読み始めてから、だいたい3日くらいでさらっと読めました。
ここ半年で1番の良作でした!!
ストーリー自体はそんなに難しくないし、そこまで予想外のことも起きません(結末はさすがに予想できなかったけど)。
それでも引き込まれるし、感情移入しすぎて、泣いたり笑ったり忙しかったです。
以下、印象に残ったポイントです。
会話がくだらなおもしろい。
物語の大部分で「僕」と、山内桜良がくだらないおしゃべりを繰り返します。
こちらはトランプの罰ゲームで、桜良が何らかの質問に答えないといけないシーンです。
「いいよ、なんでも答えるよ?ファーストキスの話とか聞く?」
「せっかく得た権利をそんなエレベーターよりも下らない質問に使えないよ」
「……エレベーターって別に下るよね?」
「そうだよ? だから? 意味あること言ったとでも思った?」
彼女はうわははっと上機嫌に笑った。
友達ができたことのない「僕」のコミュ障っぽい口調と、それをいじる小悪魔な桜良の会話が結構ツボにはまるんですよね。
くだらない会話に付き合ってくれる女の子って素敵だなー。タイプだわー。
主人公の性格が僕に似てて、桜良が好きなタイプの女性すぎるので、もう好きです。超個人的な意見ですねこれ。
主人公の名前が最後の最後まで明かされない。
主人公の「僕」の名前は最後の最後まで明かされません。終始【地味なクラスメイト】【ひどいクラスメイト】と表記されます。
「見ようと思えば性別の違う二人組は全部カップルに見えるし、外見だけなら君もとても、もうすぐ死ぬようには見えない。大切なのは、人からの評価じゃなくて中身。君も言ってたろ」
「【秘密を知ってるクラスメイト】くんらしいね」
笑いながらカフェオレを飲もうとするので、彼女のグラスから逃げ出した空気の音がする。
「それで、【秘密を知ってるクラスメイト】くんには彼女はいたの?
「よし、休んだしそろそろ」
「まだ一口もコーヒー飲んでないでしょうが」
これは主人公の「誰かに名前を呼ばれたときに、相手が自分のことをどんな風に思っているかを推測する」という癖を表現してます。
主人公の名前がわからないだけで、小説全体がミステリアスになるんですよね。安部公房の「壁」みたいな。ここが普通の恋愛小説と一線を画したポイントじゃないかな。
「君の膵臓をたべたい」の本当の意味

本を手に取った人は、タイトルの意味を考えながら物語を読み進めるはず。膵臓をたべたいって、普通に気持ち悪いじゃないですか。
この言葉の意味がわかるのは終盤の終盤。桜良が死んだあとのことですね。
私はもうとっくに君の魅力に気が付いているからね。
死ぬ前に、君の爪の垢でも煎じて飲みたいな。
って書いてから、気づいたよ。
そんなありふれた言葉じゃ駄目だよね。私と君の関係は、そんなどこにでもある言葉で表わすのはもったいない。
そうだね、君は嫌がるかもしれないけどさ。
私はやっぱり。
君の膵臓を食べたい。
君の膵臓をたべたい。とんでもないキラーフレーズでした…。感動した。
内向的な主人公と、外交的なヒロイン。2人はお互いに尊敬していて、互いに「あなたになりたい」と思っていました。
これは恋なのか…なんと言えばいいのか…。
あぁ、君の膵臓をたべたい…。
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2017年には映画化される!
62万部も売れた超ヒット作となったことで、2017年には北川景子さん、小栗旬さんらがキャストとなり、映画化することも決定!
楽しみだなぁ、これは絶対に見逃せない。
他にも2016年末に「よるのばけもの」、2017年3月に「か「」く「」し「」ご「」と「」も発売されました。
住野よるさん、これから注目の小説家です。
あまり小説を読まない人でも読みやすくておすすめよ~。良作なり!
▼最新作『青くて痛くて脆い』のレビューも書いてます!
住野よるさんの全著作をレビューしてます!
■住野よる『また同じ夢を見ていた』のレビュー&解説。「幸せとは何か」を考えさせられる物語。
■住野よる『よるのばけもの』の感想/いじめと化け物がテーマの物語。
■住野よる『か「」く「」し「」ご「」と「』の感想!みんなちがって、みんないい。