平野啓一郎『マチネの終わりに』の感想!複雑な40代を描く恋愛小説。

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平野啓一郎さんの『マチネの終わりに』を読了しました。

本を知ったきっかけは、アメトークの読書芸人…。どうも、ミーハーです。

大好きなオードリー若林さんがオススメしてたので、「こりゃ読まないと!」と思ったわけです。

 

僕は愛に飢えているので、これまでたくさん恋愛小説を読んで来ました。

しかし、『マチネの終わりに』の読後感は今まで感じたことが無いものです。

読んでいる最中、ビビっ!とくる場面がいくつもあったり、辛くてページがめくれなくなったり、大人の恋愛の世界観に引き込まれてました…。

『マチネの終わりに』の概要、あらすじ

『マチネの終わりに』は元々、毎日新聞とnoteにて連載されてた小説です。2016年4月に単行本化されました。

著者の平野啓一郎さんの作品を読むのは今作が初めて。芥川賞を受賞している実力派作家なんですね(なんと当時現役の大学生!)。

平野さんは小説家だけでなく、美術や音楽に関しても強い関心を持っていて、批評家としても活動しています。

『マチネの終わりに』は、主人公がプロの音楽家です。確かに不思議なぐらいにリアリティを感じました。

 

さて、『マチネの終わりに』の物語のあらすじは以下の通りです。

天才ギタリストの蒔野(38)と通信社記者の洋子(40)。

深く愛し合いながら一緒になることが許されない二人が、再び巡り逢う日はやってくるのか――。

出会った瞬間から強く惹かれ合った蒔野と洋子。

しかし、洋子には婚約者がいた。

スランプに陥りもがく蒔野。人知れず体の不調に苦しむ洋子。

やがて、蒔野と洋子の間にすれ違いが生じ、ついに二人の関係は途絶えてしまうが……。

芥川賞作家が贈る、至高の恋愛小説。

超要約すると、アラフォーの2人の少しドロついた恋愛のお話です。

物語の中心は、世界的なギタリストの蒔野と、戦場も辞さないやり手記者の洋子。

洋子には婚約者がいたり、後半になると蒔野も結婚して奥さんがいるんですけど、それでも互いのことが好きで仕方がないんですね。

 

2人の関係は不倫や浮気なのかというと、それもまた違います。単純なトントンと発展する恋愛でもありません。

仕事・家族など、様々な悩みが折り重なる40代だからこその難しい恋愛模様が描かれているんです。

『マチネの終わりに』の感想、見所紹介

ここから作品を読んでの感想や見所をまとめます。

以下、ネタバレ含みます。

①作中、4回しか会わない

『マチネの終わりに』は蒔野と洋子の恋愛模様が中心となる小説です。ページ数は全416のなかなか分厚い小説です。

…なのに、作中2人が4回しか会いません!

  • 1.蒔野のコンサートの打ち上げで出会う
  • 2.蒔野が婚約者がいる洋子に思いを告げる
  • 3.洋子が婚約破棄をして、蒔野と寄り添う旨を伝える
  • 4.数年後、ニューヨークにて再会(ラストシーン)

電話やメールでのやり取りはあるものの、終始、なかなか近づかない2人の距離に読者はムズムズさせられます。

世界を舞台に活躍する2人ですから、単純に物理的な距離もありますし、互いの仕事や家庭の事情からもすんなりと会うわけにはいかないんですね。

 

しかし、顔を合わせずとも、2人は互いに愛を深めていくわけです。

仕事上のスランプやストレス障害に陥った時も、お互いの存在が自分の助けになるわけで…。こんな恋愛って素敵だよなぁ。

②運命の出会い

会うこともなく肉体関係もないのに、愛を深めていく様子も素敵なんですけど、僕は何より出会いのシーンが大好きでした。

2人は蒔野のコンサートの打ち上げで知り合うんですけど、もう会った瞬間から互いに惹かれ合うんです。

会場を出る時間が迫っていたが、二人の会話は尽きる気配がなかった。

それは、最初だからというのではなく、最初から尽きない性質のものであるかのようだった。

この部分が大好き。

初対面だから会話が弾むんじゃなくて、元々会話が弾まない2人が出会っただけなんです。

まさに「運命の出会い」ってやつ。

 

さらに、話が尽きないだけでなく、洋子は蒔野の嘘に簡単に気づきます。

「本当は、謝ったんでしょう、新幹線の前の座席の人に?」

蒔野は、目を瞠った。そして、彼女と会って以来、もう何度目だろうというくらい、本当に楽しい夜だと感じながら笑って言った。

「そりゃね。謝るよ、普通は。でも、面白いじゃない、こっちが怒ったって話の方が。」

「だと思った。」

「どうしてわかるの?」

「どうしてだかはわからないけど、……わかった。」

他の人が気づかない自分に、自然と気づいてしまう人。あった瞬間から話が止まらなくなってしまう人。

そんな人と会えるなんて素敵だー。

③ページがめくれない

中盤、六章「消失点」は衝撃的でした。

僕はここで小説を読み進めることが辛くなって、たまらず本を閉じました。

 

蒔野のマネージャーの三谷(ひそかに蒔野に恋心を抱いている)が、恋敵の洋子に、蒔野になりすましてお別れメールを送るんです。

ここを境に蒔野と洋子の関係はこじれてしまいました…。

「もう、嘘だろ!」って感じです。ようやく2人が結ばれると思いきや、まさかのマネージャーの登場!!うおおおお。

 

でも、三谷に同情しちゃう部分もあるんだよなぁ。

みんな、自分の人生の主役になりたいって考える。それで、苦しんでる。

自分もずっとそうだったけど、今はもう違う。

蒔野さんの担当になった時、わたしはこの人が主役の人生の〝名脇役〟になりたいって、心から思ったって言うの。

三谷早苗の伝記映画なんて、誰が見に行きます?

でも、蒔野さんの伝記なら見たいでしょう?

そこには、三谷早苗っていう登場人物は欠かせないんです。

それって、すごくないですか?

三谷は本当に最低なことをするわけですけど、その後罪悪感も助けて、スランプに陥る蒔野を献身的すぎるほどに支えていきます。

蒔野はそんな三谷に次第に惹かれるわけで…。ひどいことをされたと知っても、誰も三谷を責めることはできないんですよね。

 

著者の平野さん自身、公式ページでコメントを残しています。

「ページをめくる手が止まらない」小説ではなく、「ページをめくりたいけどめくりたくない、 ずっとその世界に浸りきっていたい」小説というのを考えてきました。

このコメント通り。

僕は物語の世界に閉じ込めらて、辛くてページがめくれませんでした。

大人の小説だった!

『マチネの終わりに』は大人の恋愛が主なテーマなんですが、キスしたりセックスしたりが全くありません…。

婚約破棄、浮気に近い描写もあるんですけど、ただのドロドロした小説でもありません…。

 

そこに描かれているのは、様々な悩みが絡み合う40代の難しさ。そして、互いを想い合い支え合う、純粋な人間の愛情です。

まだまだ20代の若造の僕ですが、『マチネの終わりに』の2人のように素敵なパートナー見つけたいです。

 

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