
「バックパッカー 末路」で調べると、出てくるのは知恵袋の不安な話や、帰国後に苦労した体験談が多いです。でも、10年後にどうなったかまで書いている人は、ほとんどいません。
僕は2016年に新卒でフリーランスになり、2019年5月までの3年間、稼ぎながらバックパック1つで35カ国を旅しました。(その後も旅を続けて、33歳の今は45カ国になりました)この記事は、その「元バックパッカー」の10年後の答え合わせです。
先に結論を書きます。
- 26歳で、第二新卒として就職できた。ただし、3年のブランクは「未経験の第二新卒」として扱われた
- 20代のうちは、年収も社会人としての経験も、同い年より下からのスタートだった
- 会社員を6年やったあと、外資系企業からスカウトを受けて転職。30代の今は、20代のビハインドを取り戻せたと感じている
バックパッカーの末路は悲惨ではありません。ただ、無傷でもありません。何が代償で、何が武器になったのかを、正直に書きます。
僕のバックパッカー時代(2016〜2019年)
大学卒業後、旅行雑誌の編集者になりましたが、5ヶ月で退職。そこからフリーランスになって、旅を始めました。
就職しなかった理由は2つです。
- 自分が何に向いているのか、まだ決めきれていなかった
- 大学生のうちにブログで月10万円ほど稼げるようになっていて、「就職しなくても何とか生きていける」と思えた
3年間でやったことは、こんな感じです。
- フリーランスとして稼ぎながら35カ国を旅する(収入は平均で月20万円、多い月で40万円)
- 4カ国で語学留学(英語とスペイン語)
- ブログ、Web制作、プログラミングを身につける
いろいろ試したことで、「英語」と「マーケティング」が好きで、自分に向いているとわかりました。これが今の仕事につながっています。
旅のあいだのお金の話(収入の内訳や生活費)は、「バックパッカーとは?収入・費用・末路のリアル」に全部書きました。
バックパッカーの末路は、大きく3つに分かれる
長く旅をした人の「その後」は、だいたい次の3つのどれかです。
- 旅を続ける:リゾバや季節労働で貯めては旅に出る。物価の安い国で「沈没」する人もいる
- 旅を仕事にする:旅行業、ライター、ゲストハウス経営、海外就職など
- 会社員に戻る:いちばん多いパターン。僕もここです
どれが正解というわけではありません。問題になるのは、「戻りたいのに戻れない」状態になることです。貯金を使い切って、30代になって、職歴もスキルも残っていない。「末路」という言葉が指しているのは、たぶんこの状態です。
では、僕はどうだったか。ここから時系列で書きます。
旅3年目に見えた限界|稼げても成長できない
フリーランスとして旅をする毎日は、本当に自由で楽しかったです。住む場所も、1日の過ごし方も、仕事も、全部自分で決められる。生活に困らないくらいの収入もありました。
でも、3年目に入るころ、壁が見えてきました。
- 孤独:ずっと一人で仕事をしていて、少しずつ気持ちが削られていった
- フィードバックがない:自分の仕事を見てくれる上司も、目標になる人もいない。何が足りないのかがわからない
- 成長が止まる:稼ぐことはできる。でも、去年の自分より成長している実感がない

モヤモヤを感じたら、損切りは早いほうがいい。そう考えて、就職することにしました。
26歳で第二新卒として就職|ブランク3年の代償
2019年6月、26歳で楽天の子会社に、Webマーケターとして就職しました。
ただ、正直に言うと、ここがいちばんの代償を払ったところです。
代償1:「未経験の第二新卒」として扱われる
フリーランスとしてそれなりの実績があっても、会社から見れば職歴に3年の空白がある第二新卒です。新卒カードはもう使えません。新卒ほどピカピカでもないので、相手にしてくれる会社は限られます。名の知れた大企業に入るのは難しいと感じました。
代償2:上司が同い年
入社した会社では、上司が同い年でした。社会人として3年の差を、目に見える形で突きつけられました。
代償3:自分を安売りした
年収の相場がまったくわかっていなかったので、今思えばかなり安い条件で入社しています。会社員の経験がないと、こういう交渉でも損をします。
- 旅のあいだの実績は、そのままでは「職歴」として数えてもらえない
- 新卒カードは一度きり。帰国後は「第二新卒」「既卒」として勝負することになる
- 年齢が上がるほど、未経験で入れる会社は減っていく
それでも就職できた理由
一方で、旅のあいだにやっていたことが、そのまま就職の決め手になりました。
旅行ブログのアフィリエイトで、入社した会社にすでに売上を出していたんです。そのおかげで、応募する前から個人として名前を知ってもらえていました。
評価してもらえたのは、「何カ国行ったか」ではなかったと思います。
- ブログで身につけたSEO
- 自分で集客して稼いできたマーケティングの経験
- ライティング
- 知らない国で一人で生き延びてきたバイタリティ
旅そのものではなく、旅のあいだに積み上げたスキルが評価された。これが、僕がいちばん伝えたいことです。
ブランクがある状態から、未経験でWebマーケターとして採用されるまでにやったことは、noteに具体的にまとめています(有料)。
【実例】未経験からWEBマーケターに転職できた方法はこれだけ(note)
旅のあいだにスキルを身につけるなら
僕はブログを運営しながら、ほぼ独学でこれらのスキルを身につけました。今から始めるなら、Udemyのようなオンライン講座で基礎を押さえてから、ブログや仕事で実践するのが近道です。スマホ1つで受けられるので、移動中のバスや宿でも勉強できます。
- SEO:【SEO対策 入門講座】Google検索でWebサイトを上位表示させるための基礎講座(評価4.5・約1,900件)
- マーケティング:【2時間でサクッと学ぶ】Webマーケティングの販促手法とアドテクノロジーの基礎(評価4.0・約4,300件)
- ライティング:Webライティング基礎講座|現役Webライターが教える100分集中コース(評価4.4・約2,400件)
※この3つは僕自身は受けていないので、評価とレビュー数を参考にしてください。Udemyはセールが多く、セール中なら1講座2,000円前後で買えます。
会社員の6年間で取り戻したもの
入社した会社は、その後、企業買収があったり、コロナで大きな打撃を受けたりと、ジェットコースターのような6年間でした。
でもその中で、フリーランスでは絶対にできなかった経験をしました。
- マネージャーとしてチームをまとめる
- ゼロから事業とブランドを立ち上げて、育てる
- 大きな組織の中で、仕事を前に進めるやり方を覚える
何より、一緒に働く仲間がいて、親身に教えてくれる上司や先輩がいたことがうれしかったです。旅の3年目に感じていた「孤独」と「フィードバックがない」という悩みが、ここで解消されました。

10年後の現在地|外資系企業のマーケターに
会社員として6年働いたあと、LinkedInを通じて外資系企業からスカウトを受けて、転職しました。
評価されたのは、フリーランス時代のスキル × 日系企業でのマネジメント経験という掛け合わせです。どちらか片方だけでは、たぶん声はかからなかったと思います。
LinkedInのプロフィールをどう書いて、どの転職エージェントを使ったのかは、実際のプロフィールも見せながらnoteに書きました(有料)。
20代を日系企業で過ごした私が、LinkedInで外資転職した方法+使った転職エージェント(note)
20代のうちは、3年のブランクのせいで、能力でも年収でも同い年に劣っていました。でも30代になった今は、かなり高い水準の報酬をもらいながら、やりたかったグローバルな仕事ができています。旅のあいだに見つけた「英語」と「マーケティング」の2つが、今の仕事の軸になっています。
バックパッカーになったこと、後悔してる?
後悔はしていません。3年間で、欲しかった経験を全部詰め込んで、自分が何に向いているのかを見極められたからです。なんとなく職種を決めて就職するより、20代前半で方向を決められたのは大きかったです。
ただ、「こうすればよかった」と思うことはあります。
- 年収の相場を調べてから交渉すればよかった:相場を知らないまま、自分を安売りしてしまった
逆に、3年で見切りをつけたのは正解でした。26歳はまだ切り替えのきく年齢でした。あと数年続けていたら、第二新卒としての入り口も狭まっていたと思います。
バックパッカーの末路を分ける4つのこと
自分の経験から、「戻りたいのに戻れない」末路を避けるために大事だと思うことを4つにまとめます。
1つ目は、旅しながら稼ぐスキルを持つこと
貯金を切り崩すだけの旅は、お金がなくなったら終わりです。そして、帰国したときに何も残りません。旅のあいだに稼いだ仕事は、そのまま職歴とスキルになります。僕の場合はブログとWeb制作が、就職の決め手になりました。旅しながら稼ぐ方法は、こちらで当たり・ハズレに分けて書いています。
2つ目は、期限を決めること
「成長が止まった」と感じたら、そこが切り替えどきです。僕の場合は3年目、25〜26歳でした。年齢が上がるほど、未経験で入れる会社は減ります。出発する前に「◯歳まで」「◯年まで」と決めておくのがおすすめです。
3つ目は、説明できる実績を残すこと
「35カ国行きました」は、面接ではほとんど評価されません。評価されるのは、「旅のあいだに何をして、どんな結果を出したか」です。ブログのアクセス数、作ったWebサイト、稼いだ金額。数字で説明できるものを残しておきましょう。
4つ目は、就職は「第二新卒・20代」の枠で早めに動くこと
帰国後の就職は、新卒とは別のルールです。僕のように「たまたま会社に知られていた」というのは運の要素が大きいので、再現できる方法ではありません。第二新卒や20代の転職に強い窓口を使って、年収の相場を知ったうえで動くほうが、安売りを避けられます。
よくある質問
Q. 旅のあいだの期間は、履歴書にどう書く?
僕の場合、フリーランスとして仕事をしていても、転職市場では3年のブランクとして扱われました。だからこそ、旅のあいだに何をして、どんな結果を出したのかを、数字で話せるようにしておくことが大事です。
Q. 大学生が休学してバックパッカーになるのはあり?
新卒カードを残したまま旅ができるので、僕よりもリスクは小さいです。むしろ僕は「新卒カードを使わずに旅に出た」ことで、就職のときに苦労しました。
Q. 30代からバックパッカーになっても大丈夫?
戻る場所があるかどうかで変わります。会社を休職して行ける、旅しながら稼げるスキルがある、という状態なら大丈夫です。何もないまま会社を辞めて行くなら、帰国後の選択肢は20代より狭くなると考えておいてください。
まとめ|バックパッカーの末路は、旅のあいだに決まる
- 元バックパッカーの僕は、26歳で第二新卒として就職し、10年後の今は外資系企業のマーケター
- 代償はあった:未経験の第二新卒扱い、同い年の上司、年収の安売り
- 武器にもなった:旅のあいだに身につけたSEO・マーケティング・ライティング・バイタリティ
- 末路を分けるのは「旅をしたかどうか」ではなく、旅のあいだに何を積み上げたか
バックパッカーは、上手に使えばキャリアの足がかりになります。ただし、見切りは早く。これが、10年たった今の僕の答えです。
新卒でフリーランスになってからの10年を、キャリアの目線でもっと詳しく書いたnoteもあります。
新卒フリーランスの末路は?当事者が10年後の現在地を振り返ってみる(note)






