面白ハンター

アジア諸国に滞在して、ノマドワークしてる23歳。講演・講師もやってます。札幌市民で北大卒。趣味は投資と読書。4月は台北に滞在します!

原田マハ『暗幕のゲルニカ』/ アートを武器に戦ったピカソの戦争


スポンサーリンク

原田マハ『暗幕のゲルニカ』を読みました。

最近は原田マハさんにハマりまくって、今作で4冊目となります。

正直、僕は美術に興味ありません。けれど、小説を通して、『ゲルニカ』やピカソの力、アートの力をひしひしと感じました。

 

 

『暗幕のゲルニカ』のあらすじ

『暗幕のゲルニカ』は、パブロ・ピカソが描いた絵画「ゲルニカ」を巡る物語です。2016年3月28日に発売。2017年の本屋大賞候補にノミネートされています。

以下、あらすじです。

反戦のシンボルにして20世紀を代表する絵画、ピカソの“ゲルニカ”。

国連本部のロビーに飾られていたこの名画のタペストリーが、2003年のある日、忽然と姿を消した…。

大戦前夜のパリと現代のNY、スペインが交錯する、華麗でスリリングな美術小説。 

物語はパブロ・ピカソがゲルニカを描く1937年と、9.11同時多発テロ後の2003年を交互に展開していきます。どちらもピカソを愛す2人の女性からの目線です。

 

著者の原田マハさんは美術館での勤務経験がある方。楽園のカンヴァス』など、これまでも"美術"がテーマの物語を残しています。

今作もフィクションと実話を混ぜつつ、「ゲルニカ」の真意を知れる内容でした。

 

「ゲルニカ」にまつわる実話

本の内容にも関わることなので、「ゲルニカ」にまつわる実話をおさらいします。

 

①「ゲルニカ」に込められた意味

f:id:omosiroxyz:20170223214751j:plain

引用:ゲルニカ (絵画) - Wikipedia

「ゲルニカ」は言わずもがな、世界的な画家「パブロ・ピカソ」の代表作です。

こちらはナチスによる人類初の無差別空爆に沈んだ都市、ゲルニカを題材に描かれました。

空爆に怒りと悲しさが込み上げたピカソが、反戦への願いを込めて、約3.5m×7.8mの絵画をわずか40日たらずで完成させたそうです。

 

②「ゲルニカ」の暗幕騒動

物語の中心となっているのが、「ゲルニカ」の暗幕騒動です。僕はこの事件について全く知りませんでした…。

 

数年前まで「ゲルニカ」と同じ大きさのタペストリーが国連の会見場にありました。

しかし、9.11同時多発テロを受けて、アメリカがイラクへ空爆を行う前夜、国務長官が記者会見を行う際に、カメラの背後にあるはずの「ゲルニカ」に暗幕がかけられたのです。

「これから戦争をします」という会見の背後に、反戦の願いが込められた世界屈指の絵画があったら、民意が変わっちゃいますから。何らかの政治的圧力があったのでしょう。

参考:インタビューバックナンバー 

 

以上の実話を踏まえた感想、ネタバレあり。

『暗幕のゲルニカ』の感想

①アートの力を感じた。

芸術作品は、部屋を飾るためにあるのではない。敵との闘争における武器なのだ。

こちらピカソの言葉です。

僕もさすがに「ゲルニカ」がどんな絵か?ってことくらいは知ってたんですけど、その制作経緯や影響力まではしりませんでした。

 

ピカソは「アートの力」でナチス・ドイツや戦争に立ち向かっていたんですね。

万博に設置された「ゲルニカ」をみた、ナチス将校に対してピカソが立ち向かうシーンがかっこいい。

「―この絵を描いたのは貴様か」

「いいや。この絵の作者は―あんたたちだ」

アートで世界を変える。

とっても難しいけれど、その力を誰よりも信じた人がピカソだったんだなと感じます。そして、物語の登場人物の誰もが「ゲルニカ」の力を信じていました。

実際にゲルニカは、制作から80年経った今でも、人々を惹きつけています。

 

②深い悲しみから再起!

2003年編の主人公の瑤子(ようこ)は、同時多発テロで最愛の夫を失います。

悲しみにくれていた瑤子ですが、恩人に言葉をきっかけに立ち上がりました。

イーサンがあなたに遺してくれたものを、一生をかけて守っておいきなさい。

イーサンが遺してくれたもの。それは、アートを愛する心──だった。 

こうして美術館のキュレーターとして、「今こそピカソの力を借りた展覧会を行わないといけない!」と奔走するわけです。

このシーンは泣けました…。

瑤子が立ち上がれたのも、アートの力であり、夫イーサンのアートを愛する心でした。

 

③小説の力も感じた!

アートの力と同時に、小説の力も感じました。

美術に興味ない僕が、美術館に行きたくなりましたもん。

人生に一度でいいから、ゲルニカ見てみたいってなりましたもん。しかも、ピカソについてかなり詳しくなっちゃった気がしますもん。

全然関心を持っていなかった分野に、興味を持つきっかけを作れる。

これは小説の力だなぁ。

 

④ラストシーンのまとまり

ラストシーンは、意外?でした。

普通にMOMAの展覧会で飾られると思ったら、まさかの国連に行っちゃうとは!

でも、これが一番、

「ゲルニカ(アート)」は、平和を望むすべての人のもの。

という、原田マハさんが『暗幕のゲルニカ』で伝えたいメインメッセージを伝えるのに適した形だったんだと思います。

 

 

アートはときに人を動かし、ときにどんな武器にも勝るものです。 

ピカソやゲルニカ、美術に興味がなくても、さらりと読める作品。オススメです。

 

▼原田マハさんの作品で一番泣かされた作品。というか、今まで読んだ小説で一番泣いた。

▼人生や幸せについて考えさせられる小説。こちらも泣かされました・・・。